札幌ピカンティについて

1996年、それはヴォイジュから始まった

 札幌ピカンティの前身は、1996年、札幌市北21条に開店したVOYAGE(ヴォイジュ)というお店です。 創業者がバックパッカーとして世界を旅をしたのちインドのゴアという都市で暮らしながら身につけた「カリーオールドゴア」というカレーが最初のメニューでした。

 当初は9席の非常に小さなお店で、創作スパイスの料理のお店としてスタートしました。というよりも未だに創業者は「うちは創作スパイス料理だ」と思っていると思います。

 見るからに入りにくい入り口にひるまず入ってくるすこし尖った北大生が当初のお客さんだったように思います。

1997年、アーユルヴェーター薬膳と、カリーアンダマンの誕生

 ボイジュはカレー屋ではなく、創作スパイス料理の店でした。ですから創業者の気まぐれでいろんな料理が出てきました。その一つが「カルディラーダ・ペスカトーレ」でした。スペイン風ブイヤベースという説明でしたが、これが常連の北大生に大ヒットします。

 当時のヴォイジュは今からは信じられないほど静かでした。でもその時期、創業者は毎日のように試作品をつくっては、それを常連に食べてもらって改良を重ねる創作の日々を送っていました。それが、いくつものスープカレーを経由して、今も残る「カリーアーユルヴェーダー薬膳」につながります。

 1997年当時、スープカレー発祥の店と言われるアジャンタもありましたし、スープカレーという名称を生み出したマジックスパイス(1993年)も既にありました。ただ、いわばスープカレーっぽいものをつくっていたお店は数えるほどだっとおもいます。インターネット黎明期で情報があまりない中、なぜか同時多発的に札幌では別々のルーツを持つ個性的なスープ状のカレーを出す店が出現していました。

 このカレー達にマジックスパイスが「スープカレー」という名称と枠組みを与えたといってもいいでしょう。この辺の歴史はブルータスさんの記事が詳しいです。後編にはピカンティも登場してます。

1999年、行列が途切れない店に

 ヴォイジュは毎日のように新しいメニューを作っていました。そして常連客は毎日のようによくわからない名前の新メニューを注文するという日々を繰り返していました

 ふと見ると、お店の入り口には行列がありました。しかしもともと9席しかなく、オペレーションも最適化されているわけではありません。

 そもそも、このお店は次から次へとお客さんをこなして行くお店ではなく、マスターが作りたいものを作りたいように作る職人の空間だったようにおもいます。ところがやはり評判というものはだんだん広がるもので、どんどんとお客さんが増えていくのです。

 この当時、マスターが仕込めていたのは1日40食程度しかありませんでした。牛骨をオーブンで焼き、そこからフォンをとって、そのスープベースを元に様々な味付けをしていく。ですからお客さんの数に合わせてどんどん生産数を上げていくということは不可能にでした。寸胴をおけるスペースイコール生産量の限界だったのです。

 友人に「並んで食べられなかった」と言われ、創業者は1日40食の限界を感じることになります。スープ切れによる「売り切れ」はお腹をへらして来店するお客さんにとって、とてもつらいものです。

 創業者は「これではお客さんに迷惑をかける」と一念発起することになります。

2000.1.1 ピカンティ開店

 ピカンティ本店は年越しオールナイトの2000.1.1の夜中0時の開店でした。

 
いきなり40席になったのでキャパは十分ありました。月に一回、夕方に店を閉めてお客さんと持ち込み有りのパーティをしていたくらいです。

 しかし、そんなのどかな時期も長くは続きませんでした。

 2003年頃から「スープカレー」というジャンルがとうとうブレイクするのです。
そんなに多くなかったスープカレー店もあっという間に増えていきます。

 そんな中、当時北海道内で高い人気を誇っていた「水曜どうでしょう」で人気を博した大泉洋さんが全国的に知名度を上げていくと同時にスープカレーの本などを出し、ジャンル自体が北海道の中で大きく育っていくという事が起こりました。

 マニアが主催するランキングなどでもヴォイジュは常にトップクラスにランキングされるまでになっていました。ほんとにありがたいことです。

 2013年10月31日には、北海道新聞にスープカレーが大きく取り上げられます。この頃から、様々なメディアに取り上げられるようになります。ありがたいことに、数えれきれないほどの掲載をしていただきました。

 2005年には新宿伊勢丹さんにお声掛けいただき催事を出させていただきました。当時は本当にたくさんのメディアに掲載頂いております。

 今回、webショップをつくるにあたって過去の記録を探してみたのですが、殆ど残っておりませんでした・・・この写真で当時の雰囲気を感じていただければ幸いです。

ピカンティ駅前店の開店

 2009年、ピカンティ駅前店が開店します。他のグループ店と異なるのは、フランチャイズでもなく、直営でもない、唯一暖簾分けを許されたお店としての出発です。
 スパイスや調味料、材料は本店と全く同じものを使用しています。常に創業者と話し合いながら、新しいチャレンジをするお店として開店しました。
 その最新のチャレンジが、冷凍スープカレーの開発です。

最高の冷凍スープカレーを!

 ピカンティが大事にする「スパイス感」は火からおろした直後から劣化し始めます。粗熱をとるだけでも、随分刺激は弱くなってしまうのです。

 冷凍のスープカレーはピカンティ本店でも販売しているのですが、駅前店では新しい設備を入れて、熱々のスープカレーを、そのまま真空パックして一気に急冷するという方法を取ることにしました。

 現時点では最高の商品の一つになったのではないかと思います。野菜もついているので、疲れて家に帰ってきた時「スープカレーで元気になろう!」という時には湯煎だけで食べられるのでとても楽ちんです。

 なかなか観光しにくい昨今、札幌でピカンティをたべてハマった皆さんには最適な商品ができたのではないかと思っています。

 ぜひお試しを!